百年昔に馳せたロマン
たった一人の農家の挑戦が奇跡を生んだ

今から百年昔、多くの人に愛され、食されていた
鹿児島県霧島産のさつま芋「蔓無源氏(つるなしげんぢ)」復活に、
白羽の矢が立ったのが、鹿児島県霧島市の農家「谷山秀時」氏。

 谷山氏の育てる芋は、農協を通して持ちこまれる芋の中で群を抜いて質が高かった。
繊細で骨の折れる作業を実現できる農夫。
「納入に合格する為の芋ではなく、相手が欲くするものでなくてはならない、
選別の必要がない芋を作る」これが谷山氏の農業の基本。

 気候も風土も変わった今、品種改良されていない芋を栽培するには、苗を増やすことすら難しい。単に苗を育てるだけでなく、甘さ・コク、香り、バランスの良い芋を作る事は至難の業。
未だに「蔓無源氏(つるなしげんぢ)」を育てることができるは谷山秀時氏ただ一人。

 
 谷山秀時氏の農業は、繊細で温かい。
「手塩にかけて育てる」、ありきたりの言葉だか、この言葉がピッタリとはまる。
それは、「百年昔の芋 蔓無源氏(つるなしげんぢ)」の栽培に限ったことではない。
毎日畑に通い、自分の目で作物の成長を確認し、土づくりから日々の研究にも余念がない。その様子はまるで子育てを楽しんでいるかのよう。
「百年昔の芋 蔓無源氏(つるなしげんぢ)」は、わずか10本の苗から育てた芋。毎年、種イモを確保し、そこからまた苗を育て増やしている。冬場に耕運を繰り返し、スキをかける、病原菌の密度をいかに減らせるか、畑の深耕を繰り返し、最近では微生物菌を使った土壌改良にも取り組んでいる。

 「蔓無源氏(つるなしげんぢ)は、百年昔の姿のまま、農業も百年昔、あの頃と同じ様に手間をかけてあげないと。農業の原点をもう一度い見つめ直す機会となりましたね」と笑顔で話す谷山秀時氏の言葉が印象に残る。
 
国分酒造 蔓無源氏専属農家
谷山秀時氏

蔓無源氏は、
国分酒造のためだけに育てる芋。

リスクを分け合うだけでなく、喜びを共有する、「専属」に、誇りと農業に対するやりがいを実感を感じている。

谷山氏は、専属の名に相応しい農家になる為、
日々研究の研究に余念がない。

穏やかな人柄の中にも、農家としての意地やプライド、情熱が伝わる。