逆境を転機に。兄弟で築く骨太な蔵元
災害から生まれた「焼酎と人」の絆
小牧醸造株式会社 小牧一徳さん・小牧尚徳さん
Q焼酎造りへのこだわりを教えて下さい。
A 小牧一徳 専務
焼酎造りも機械化が進む中、私たちの蔵は甕壺仕込み、手漉き濾過を行っています。先端技術を導入した焼酎造りも一部ありますが、柱となる焼酎を手作業で行っているのは、昔から続けている当たり前の作業、小牧醸造にとってのスタンダードなスタイルだからです。例えば芋の選別ひとつにしても、「自分の子供たちや、大切な人に食べてもらえるか」を基準にして選別するよう、スタッフに伝えています。
芋や麹は生きものです、常に同じ状態ではありません、微妙な変化に気づいてあげられるのは人の手だと思うんです。
焼酎の可能性を広げるため、最新技術を取り入れることも大切ですが根本は「昔ながらの製法」。伝統をベースに、いかにして旨い焼酎を造るか、そこに面白さを感じています。焼酎はその年の芋の性質に加え、杜氏のちょっとしたクセによって、毎年同じものを作ることはできませんが、大切な事は蔵の資質だと思うんです。この場所で蔵を守り続けている以上、焼酎造りの7割を占める水は変わりません。この地方の水は硬度が46℃と、県内でもかなりやわらかな水です、自然の貴重な資源と、代々受け継がれてきた「小牧の造り」を守りながらも、今の我々の個性を出していければと思っています。
今私が大切にしている事は、「横の繋がり・人の繋がり」ですね。先代や杜氏から現場で実践しながら体に叩き込まれて学んだ面に加え、広島の酒類の研究機関で学んだ際、技術と共に、焼酎はもちろん、清酒の蔵元さんとの繋がりも生まれました。焼酎に限らず、酒造りに関する意見交換は、沢山の発見や刺激を与えてくれます。焼酎の販売・造りいずれも人との繋がりが我々を強く支えてくれていることを肝に銘じ、期待に添えるよう日々邁進していきたいですね。