建仁寺 祇園 丸山
 
 ■「思い出」とともにいただく 心を伝える京料理
「高台寺土井」さんで10年間奉公し、木屋町「菊乃井」さんで料理長を7年半、高台寺「和久傳」さんで料理長を5年間勤めました。祇園でお店を出せたのは、自分を育ててくれた修行先のお店さんとの出会いがあったからこそだと思っています。政治家の方々や画家、音楽家など各界の著名な方々がいらしてたんです。その時、同じ空気を吸わせてもらったことが何よりも刺激になりましたね。
京料理は、日本人の感覚を伝承し、思い出の情景を演出するものだと思っています。例えば、夏といっても、七夕、祇園祭、大文字そしてお盆があります。その時期が訪れると、蛍とか夕立とか思い浮かぶように料理には、香と味があり、思い出の引き出しをあける要素になるんです。
日本料理は生命が感じられる料理なんです。けん、つま、あしらいなどを用いるのもそのためです。丸山では、庭の緑、設えも考慮された光・音・温度・香り・味、見えない5つのものを感じていただくことを大切にしています。


 
 
 二階お座敷。優美で涼やかなひと時を演出してくれる。
 
 
 庭の景観。細部にまで手入れが行き届いた美しい和の空間が広がる。
 
■こだわりの空間を飾る 掛け軸と器
時々聞かれます。なんでこんな軸かけてるのと。例えばこれは、かたつむりの掛け軸(熊谷守一(くまがいもりかつ)氏作)なんですが…これはかたつむりが通った後に、銀色の道をつくってるんです。これは、次に迷った人がぶつかったときに先人が作った道を表してるんですよ。そして、なぜかたつむりか。目が飛び出てるでしょ、未来を見ているんです。
他でいうと、上村松皇(うえむらしょうこう)の西瓜の掛け軸にはきりぎりすが鳴いています。日本人の感覚で伝わるものが、ここに盛り込まれているんです。一つひとつに、生きる上での心得というかメッセージが込められてるんですよ。おかしな話だけれども、こういった感性の部分を日本の人にも分かっていってもらいたいですし。勿論、海外の人にも伝えていきたいから飾ってます。
 
■伝統を続けてこそ生まれる 新しい京料理
京料理の文化も、受け継がれたものを変わらないようにずっとやり続けて、その中で時の流れ、うねりに任せて変わっていけばいいと思います。変えることを前提にする必要はないと思います。

■弟子たちへ説く心得とは
真摯な心をもつことはもちろん一番大事なのですが、結果も同じくらい大切。プロとして生きていくにはある程度のレベルまで、結果を残さないとならないんです。自分で考えて、取り組んで作る。そうして、自分の力で生きていけるレベルになったら、その時に初めて自分が好きなもの。個性や特性、自分の色を出していいと思います。それまでは、他への批判をしたらならないと思っています。他にも、数寄屋などの生を感じられる内装へのこだわり。建物が大事なんやと伝えています。
背景や文化を踏まえ、じっくりと成熟してほしいです。例えば井戸を掘ると、京都の水の中に歴史、伝統、四季がひそんでいる。見えないところでもしっかりと京都の文化に根付いた考え方であってほしいですね、都の味わいとして。

 
 
 紫陽花盛り
硝子 (百合根すり流し おくらとろろ トマト 寿海苔 南瓜 海藤花(蛸の子)ふり袖)
小芋土佐煮 唐もろこし 焼穴子
小袖寿司(小鯛 酢立挟み)江戸生姜
ふかひれ煮凍り ほじそ 生姜酢ジュレかけ
日向夏釜 (蛸柔煮 生うに 豆乳半張り)
 
夏の風情を表現したダイナミックな一皿。季節は六月の半ば、紫陽花の生命が力強く、そして美しい。黄色の大きな器は石井康治氏作。横のガラスは、ボヘミアガラス。日向夏を絞ってもらうことによって香りを引き出す。クリスタルの硝子器の百合根すり流しは大人気。日向夏の器は柿右衛門作。ほか三田青磁など、三色カラフルは江戸切子。


 
 暑気払い 冬瓜釜(温)
梶の葉蓋 祇園丸山
鮑柔煮 車海老
枝豆豆腐 束ね湯葉
じゅんさい 忍生姜 ふり酢立
 
出来立ての冬瓜釜は熱々のものを。中にはとろける青豆豆腐にと鮑が隠れている。鴨瓜の器は、中村東洸(なかむらとうこう)作。



 
 祇園丸山
店主 丸山 嘉桜(まるやま よしお) 氏
 
<profile>
1949年 京都市中京区で生まれる
1967年 裏千家名誉師範 西脇宗妁に師事『高台寺土井』で修業に入る
1976年木屋町『菊乃井』(現在露庵菊乃井)の料理長を務める
1983年 高台寺『和久傳』にて料理長を務める
1988年『祇園丸山』を開店する
1998年 建仁寺南側八坂通りに『建仁寺祇園丸山』を開店
2001年 『祇園丸山』リニューアルオープン
2007年 アメリカNYでの日本料理アカデミーNY事業に参加
2008年 NHK近衛家特集・NHKハイビジョン特集 桂離宮にて料理を手掛ける
2013年 映画『利休にたずねよ』にて料理を手掛ける
2015年『あさが来た』の書籍での料理書の復元。明治天皇をご招待された料理の再現に関して熊倉功夫先生にご協力させて頂きました。
 
2009年から『祇園丸山』『建仁寺祇園丸山』両店はミシュラン二ツ星を獲得し続けています。(2017.7現在)
海洋深層水で作られた京番茶も監修。
【祇園心茶】舞子さんお薦め、海洋深層水で作っています。
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電話 075-561-9990
店名 建仁寺祇園 丸山
住所 京都府京都市東山区建仁寺南側 
営業時間 昼 11:00 〜 / 夜 17:00 〜
定休日 不定休