福岡、白金の地に静かに佇む【白金にし田】。
日本の食卓の文化を、再認識しじっくりと味える。開店して2年を迎えるにし田は、日本の古式ゆかしさと和みを感じさせる造り。和食が大好きな祖母に食べさせたいという想いから、和食料理人となった店主西田慎吾氏。
店内の清廉な澄んだ空気から料理人たちの心意気と来店するお客様への姿勢が伺える。
カウンター席は、料理人の所作と料理にじっくりと向き合うことができるゆとりをもった造りとなっている。個でも接待でも、いずれも大切な時を過ごすための場所として重宝されている。個室はいずれも、隅々まで手入れが行き届いた畳の和室にテーブル席がセッティングされており、老若男女問わず誰もが使いやすくなじみやすい。
とってすぐの出汁をはじめとした出来立て料理を温かいうちそのまますぐに味わえる。程よく小ぢんまりした空間だからこそできるおもてなしは来店した人々をほっこりとさせてくれる。
にし田のお品書きは、 完全予約制の店主おまかせコースのみだ。料理一品ごと、そしてコース全体の仕上がりのバランスが考えられている。山のものと海のものをあわせることを意識し、香りと旨みを絶妙に合わせ完成させる技は、匠の和食に対する心意気が感じられる。
通いたくなる魅力にあふれている白金にし田。大切なもてなしの会、和食をゆっくりと味わいたいときにお薦めしたい名店だ。
あたりまえのことをあたりまえに。
白金にし田のご馳走は
豪勢さではない、日本料理の原点に帰ること
【白金にし田】のおもてなしは至ってシンプルだ。
ひとつは、出来立てをお客さまに提供すること。「一番出汁」は、とってすぐのものを。「炊きたてご飯」は、土鍋で生米からじっくりと炊きだしたものをお客様の目の前で蓋を開ける。このにし田で食す「あたりまえ」が、この上ない贅沢に感じられるはずだ。
ふたつめは、どこから来店されても、誰もが懐かしく、みんなが「美味しい」と響く料理をつくること。
出汁のおいしさを純粋に味わってほしい。和食料理人として一筋に生きてきた店主が行き着いたのは、日本の食卓の基本である出汁とご飯。
職の経験値を積んだからこそわかる美味しさではなく、みんながもっている「美味しさ」に伝わる料理を提供したいという想いが込められている。
writer:Chie