農業からの酒造りが“焼酎を造る”ということ
土台を大事にしてこそ「本物」が見えてくる

西酒造株式会社 代表取締役社長 西陽一郎さん
日本三大砂丘の1つに数えられる吹上浜がある地・日置市吹上町。約160年の歴史を持つ西酒造の故郷だ。この地で暮らす人々に見守られ、愛されながら、焼酎造りを続けてきた西酒造。ただ旨い芋焼酎を造りたい、その一心で生みだした「富乃宝山」は、華やかな香り、キレのいい口当たりで人気を博し、鹿児島の芋焼酎の素晴らしさを改めて認識させてくれる逸品となった。

Q.焼酎造りへの想いをお聞かせ下さい。

  「ワインは3000年、清酒は2000年の歴史があります。しかし我々の芋焼酎はおよそ150年の歴史しかありません。焼酎の価値が低かった時代や、焼酎ブームと言われ、芋焼酎が贔屓にされた時代もあります。その浅い歴史の中で、飲み手と一緒になって旨さを目指して行きたい。我々はまだまだチャレンジして行きたいんです。焼酎というのは、芋を選別して、麹やもろみ造りをして、蒸留して…といった、「蔵」だけで出来上がるものではありません。我々は契約農家さんと一緒に自分たちも農業をして、収穫をして…という「農業からの酒造り」を大事にしています。つまり西酒造は、一年を通して焼酎造りに関わります。味の美味しさは当たり前のこと。ワインを飲んだ時に葡萄畑の風景が目に浮かぶように、芋焼酎を飲めば芋畑の風景が目の前に広がる…そういう環境が出来上がった時に、初めて「焼酎文化」としての浸透が言えると思います。」

Q.焼酎ブームを経て、今思う事は?

  「鹿児島の芋焼酎がもてはやされて、焼酎人口が増えたことは良いことなのかもしれませんが、本当に焼酎の価値を分かって飲んでいる人はどれだけいるんでしょうか。いろいろな焼酎を一巡して、結局どの焼酎を飲んでも一緒と感じる。それでは意味がありません。物事の本質・土台を捉えることこそが大事なんです。焼酎が造られる背景まで考えてこそ、本当の意味で焼酎を飲むということの価値が分かるのだと思います。」

Q.今後の西酒造の展望をお聞かせ下さい。

 「今までと変わらず、米、芋、水全てを焼酎が生まれるその地のものを使うこと。その実直な姿勢を大事にしてこそ、旨い酒が作れると思います。酒造さんは他にもたくさんありますが、大切なのは自分たちの「宝山」をいかに磨いていくかということ。造って良かった、売って良かった、飲んで良かった。この連鎖をブレずにやっていくことが、西酒造の焼酎の価値を造るのだと思っています。鹿児島の芋焼酎も、フランスワインのような世界基準で計れる国酒になると信じて、一本一本、焼酎造りに取り組んでいきます。」
 

西酒造株式会社
〒899-3309
鹿児島県日置市吹上町与倉4970−17
TEL. 099−296-4627
HP:
http://www.nishi-shuzo.co.jp/

 

※1845年の創業以来、吹上町で淡々と伝統を守り続けてきた「薩摩宝山」は、全ての宝山シリーズの旨さの基準となる一本。芋の旨味が最も凝縮された冷凍焼酎「万暦」や麹にも芋を用いた100%芋だけで仕込んだ「宝山芋麹全量」は、北海道・洞爺湖サミットの晩餐会で使用されるという栄誉を持つ。