蔵人の誇りと、意地が美食の国へ届く
世界が認める焼酎に挑む
    有限会社佐多宗二商店
  
 
地元・頴娃の人々に永い間愛される焼酎蔵「佐多宗二商店」。焼酎造りへの誇り・情熱は、多くの人の心を動かし地元を基盤に世界へと飛び立とうとしている。鹿児島はもちろん全国の酒好きに支持されるこの蔵の焼酎は、美食の国「フランス」のレストランでも、愉しまれている。「芋焼酎は世界に通じる酒」小さな蔵の想いは強い。情熱的で緊張感のある、この蔵の焼酎の味わいに表れて、今まさに、芋焼酎が国境を越えようとしている。

Q 世界へ目を向けている理由を教えて下さい。

焼酎蔵で働いていると話すと「大変な仕事だね」と言われたものでした。焼酎ブーム真っ只中に、働く人の募集を出した時も、驚いたことに、誰も来なかった。鹿児島の人にとって、焼酎は身近な存在過ぎる、近すぎてその魅力が見えなくなっているのではないか、そこに危機感を感じました。焼酎造りは素晴らしい仕事、誇りを持って欲しい、そう感じてもらえるには、世界に通用する仕事をすればいいと考えたんです。焼酎にはそれだけの力があると僕は信じていますから。

 ANAの機内で、うちの「刀」という焼酎販売の話がありまして。最初は正直乗り気ではなかったのですが、一度の運行に3〜4本しか販売できないという条件でした、それが逆に都合がよかったんです。つまりは、少ない本数ならば、日本から海外に行く間に売れる、日本に戻ってくる確率より、海外に運ばれる可能性が高いですから、知ってもらうチャンスだと思いましたね。売る事の前に「焼酎」を知ってもらう事が大事ですから。当初半年の契約でしたが、気が付くと4年が経ち、約4本からスタートした販売も、今では年末になると約1000本売れようになりました。焼酎を海外にも広めたいという想いが、少しずつではありますが、カタチになっているのかもしれません。


 

Q フランスのレストランで佐多宗二商店の焼酎が飲めるようですが、
  なぜフランスに?

 

社長が、イギリスに留学していた事もあり、まずはヨーロッパ、それなら食の意識が高いフランスに売り込もうと思いました。一番の魅力は、ソムリエの文化が根付いている事です。国内でもそうですが、僕らの造る焼酎は、スーパーなどに並ぶ焼酎と比べ、金額も高い、でも価格に見合った内容で仕込みを行っています。その焼酎がどういった物か愛情を持って説明していただける酒屋さんにだけ卸しています。ソムリエがいるレストランなら、それが可能だと思ったんです。しかし、そもそもさつま芋の存在自体を知らない国ですから、そうそう簡単には行きませんでしたが。フランスで知ってもらうという事は、ワインと戦わなければなりません、焼酎はフランス料理の食中酒にわあまり向かない、。そこで、イタリアのグラッパやフランスのオー・ド・ヴィーといったアルコール度数の高い食後酒として飲まれる蒸留酒を意識した焼酎を出してもらうことを提案しました。ソムリエや料理長を集めて、焼酎の説明を繰り返し行いました。日本食のお店に置いて欲しいという依頼もありましたが、レストランに置いてもらうことにこだわりました。

焼酎とは何かを分からないまま、飲まして、焼酎の価値を下げたくはなかった、もちろん、売りたい気持ちはありますよ、でも知ってもらう事が一番の目的ですから。

 

Q今後の取り組むべきことは

 

以前フランスのボルドー地方を訪れたことがあるんですが、畑以外は何もない場所です、それでも世界中のワイン好きが、その畑・蔵を見るために集まって来ます。鹿児島の芋焼酎が世界に認知され、この地に世界中の人が訪れてくれたら嬉しい事ですね。また、コニャックで世界的にも有名はヘネシーを見学した際、100年物のブランデーを貯蔵していたんです。自分たちが飲める訳でない、代々受け継がれて、ひ孫の代ぐらいに飲める、それでもその酒を残す、そこに酒を造る人間の誇りを感じました。今、この蔵も次の代に残すための酒を貯蔵しています、まずは50年を目標にしています。焼酎を売る事はもちろんですが、焼酎の文化や誇りの部分をもっと大切にしたいと思っています。

 業界が一丸となって啓蒙活動に取り組むことも大切かもしれません。しかし、全ての蔵が同じグループとなって、何か出来るかといったらそうではないと思います。蔵元それぞれに、方針は違います。お互いに依存しあうのではなく、各蔵がそれぞれに明確な方向性を定め、プライドを持って焼酎造りに取り組むことが、一番大切だと思います。





 
有限会社佐多宗二商店
〒891-0704
鹿児島県南九州市頴娃町別府4910
TEL. 0993-38-1121
HP:http://www.satasouji-shouten.co.jp/index.html

薩摩の土壌でしか出来ない芋の旨味と厳選された上質の天然水、そして造り手の「情熱と想い」の結晶である「晴耕雨読」。流行に左右されず、真に焼酎を愛する人のために生まれた焼酎だ。また、幾年の研究を重ね、黒麹で造られた本格芋焼酎「角玉」は、佐多宗二商店のスーパーレギュラーブランド。